議会リポート
2012年3月27日
大島 淡紅子
議案第26号「宝恷s暴力団の排除の推進に関する条例の制定」について、賛成討論を行います。
この条例案は、暴力団が、暴力やこれを背景とした資金獲得活動によって、市民の生活や社会経済活動に介入し、多大な悪影響を与えていることから、暴力団の資金源を根絶する目的で全国の自治体において制定、施行が進められており、兵庫県においても昨年4月1日に暴力団排除条例が施行されています。
私が、この条例案で危惧する3点を述べます。
- 犯罪行為の禁止ではなく、暴力団及び暴力団員並びに暴力団密接関係者 在そのものを禁止している。これは、日本国憲法第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」第14条「すべて国民は、法の下に平等」とは相反するものではないか
- 市民や事業者が暴力団員等と知らずに雇用関係を結んだり、金品等利益供与を行う可能性は、少なくない。例を挙げると、ヤクザ、あるいは暴力団には歴史的に見ると「博徒」系と「テキ屋」系があるようだが、祭りの際に登場する露天のほとんどがこの「テキ屋」系ヤクザ。露店が開かれれば、これは、神社・仏閣等の主催者が暴力団に利益を供与したことになるのか
- 市民及び事業者の役割として、協力や情報提供の努力義務がある。「○○さんは暴力団員の疑いがある」と、市民が警察に通報するのだ。
「茶色の朝」という小説をご存知だろうか。
ある国で「茶色以外のペットは始末する」という法律によって、自分の猫と犬を始末しなければならなかった2人の男。しかし、その法律を批判していた新聞が廃刊になり、「茶色新聞」しか読めないことになるが、そのうちに茶色に染まることに違和感を感じなくなる。茶色の犬と猫を飼いはじめ、快適な生活と感じる2人。しかし、過去のペット飼育歴がばれて、自警団に逮捕される。「国家反逆罪」だと。
「規制」から過度の自粛が生まれがちであることを指摘しておきます。
確かに犯罪は悪であり、暴力も悪であります。
昨年宝塚では、元暴力団組員の自宅近隣での迷惑行為から、
- 自宅で暴力団の定例会を開き、構成員を集合させない
- 自宅を暴力団事務所として使わない
- 組員を使って住民に異議を唱えない
と、元組員側と周辺住民が合意し、神戸簡裁で「即決和解」しました。宝塚市、自治会と連携した住民組織が対策を協議した結果であり、法による規制ではありません。
このような協働の取組み、また共生の理念を尊重した前例が生かされていないことは非常に残念ですが、今後更に宝塚らしい条例を研究されることを願い、賛成の討論と致します。
審議経過・結果
- 2月15日
- 提案説明(本会議)
- 2月29日
- 資料説明と質疑(総務常任委員会)
- 3月6日
- 可決(全員一致)(総務常任委員会)
- 委員会での審議(宝塚市議会のページへ)[PDF]
- 3月27日
- 可決(全会一致)(本会議)