議会リポート

2012年6月27日

大島 淡紅子

請願第11号「災害廃棄物処理についての請願」について、「ともに生きる市民の会」を代表して、賛成の討論を行います。

この請願は、次の3項目を求める意見書を国に提出するよう求めるものです。

  1. 全ての災害廃棄物は地元で分別・処理をし、地元の雇用を確保して、復興に役立てる
  2. 今回発生した放射性廃棄物は、東京電力原子力発電所の敷地内等で、東京電力と国が責任を持って、集中的かつ長期間安全に管理する
  3. これらに関しては、労働者の安全衛生に万全の配慮をする

というものです。

この請願に賛成する理由を述べて行きます。

1項目め、阪神・淡路大震災で発生した災害廃棄物は約1,450万tで処理に約3年を要しました。うち、99.6%を兵庫県が処理し、他府県にお願いしたのはわずか0.4%(75,036t)でした。

今回の災害廃棄物はというと、5月21日環境省廃棄物・リサイクル対策部が推計量の見直しを行い、岩手県525万t・宮城県1,154万tの計1,679万tとなり、阪神の116%となっています。宮城県をみてみます。石巻市・東松山市・女川町の災害廃棄物を、県が県内処理の入札で鹿島JVに685.4万t・1923億6千万円で落札、処理も始まっています。しかし、実際の3市町の総量は574万tで、111.4万t不足する。しかも、北九州市が広域処理を予定している総量は73万t。併せても予定の94%にしかなりません。

ここで、過去の震災の廃棄物処理単価を比較してみます。1tあたり阪神2.2万円、中越3.3万円、岩手宮城内陸地震1.5万円だったものが、今回は津波の被害が大きいとは言え、東京都6.8万円、静岡県島田市10万円と桁外れに大きく、しかも、島田市長は産廃会社元取締役、東京都は手数料1億円強を受け取り、おまけに処理を受注したのは東京電力の子会社です。

即ち、絆で広域処理を引き受ける陰には、利権が見え隠れしていると言わざるを得ません。

被災地では、岩泉町長や陸前高田市長・南相馬市長らが、地元に任せてほしいと地元処理を訴えています。

また、コンクリートブロックを利用した自然林の防波堤など、新たな廃棄物の利用法も研究されています。

2項目めは、放射能の汚染拡大を防ぐことの必要性についてです。

放射能が健康に及ぼす影響にしきい値はありません。低線量でも、継続的に外部・特に内部被曝すれば健康被害を被ることが実証されています。

今、あらゆる困難を排して、東日本から近畿以西に移住されている、多くの方がいます。そのほとんどは、放射能の影響でダメージをうけやすい成長期の「子ども」のためです。彼らにとっての安住の地が、日本国内になくなってしまう。ですから、今回発生した放射性廃棄物は、東京電力原子力発電所の敷地内などに留め、排出事業者が処理保管するのは当然の義務であります。

3項目めについて、先日、ポルトガル語講師の方が朝日新聞に投稿されていました「ネットのブラジル人向け求人誌に、ポルトガル語で福島でのガレキ処理の人材募集が掲載されていた。発電所から20km圏内1日2時間3万円、安全な地域は1日1〜1.2万円。医療保障の記載はない。言葉の壁が就職を阻み、アルバイトや派遣労働で食い繋ぐ人も多い。そこにつけ込むような広告にぞっとした。」とありました。以前から指摘されていましたが、法定限度以上の放射能を被曝する危険な労働を、電力会社が名もない労働者から金の力で購入し、放射能被曝の事実を闇に葬る行動が繰り返されてきました。

声を上げにくい人の犠牲の上に存在する社会はおかしいし、持続可能ではありません。より多くの方が、この誤った仕組みに気づき、行動していて頂くことを願い、賛成の討論とします。

審議経過・結果

5月28日
提案説明(本会議)
5月29日
説明(文教生活常任委員会)
6月6日
不採択(賛成少数)(文教生活常任委員会)
委員会での審議(宝塚市議会のページへ)[PDF]
6月27日
不採択(賛成少数)(本会議)
各議員の賛否(宝塚市議会のページへ)[PDF]